変色効果とは、アレキサンドなど一部の鉱物に見られる光の効果で、特殊効果のひとつです。
具体的にいうと、同じ宝石であるにもかかわらず、自然光の下と人工灯の下では宝石が異なった色を示す現象のことを指します。
たとえばアレキサンドライトの場合、日光・蛍光灯下では暗緑色や青緑色を示しますが、白熱灯や蝋燭の明かりの下だと赤紫色に変わります。
また、アレキサンドライトがもっとも有名ですが、フローライト、ルビーやサファイアを含むコランダム、クリソベリルやスピネルにも変色効果が見られることがあります。
次に変色効果の歴史についてですが、初めて世に知られたのは18世紀のことです。フランスの小説家マダム・ド・ジャンリネス著の童話集『城の夜のつどい』に、「不思議なサファイア」として登場し、その変色効果が紹介されていました。サファイアの変色効果は、昼間の太陽の下では深い青色、夜間の人工照明ではアメジストに似た紫色に変化することで知られており、現在でも高い人気を誇っています。
さらに変色効果が有名になったのは、19世紀になってからです。1830年、ロシアのウラル山脈のエメラルド鉱山で、クリソベル(金緑石)の変種が見つかりました。発見された当初はエメラルドだと思われていたのですが、後に太陽の下では青緑、人工照明の下では赤紫と、環境が異なると色が劇的に変化する事が判明しました。
この現象が当時の人々にはあまりに珍しかったせいか、当時のロシア皇帝であるニコライ1世に献上されることになるのですが、その献上された4月29日が皇太子アレクサンドル2世の誕生日だった為、この宝石はアレキサンドライトと名付けられました。これが、変色効果をアレキタイプと呼ぶ理由となっています。
はっきりと変色をする宝石は価値が高く、最近では合成された宝石も出回るほど人気の変色効果。一つの宝石で二種類の美しさを楽しむことができるその魅力を、ぜひ体験してくださいね!